進撃の巨人 -ATTACK ON TITAN-(実写版)

  • 2015.08.03 Monday
  • 00:41
原作は全く読んだこともないのですが、樋口監督だし現状の最先端日本特撮映画ーみたいな触れ込みもあるということで見てきました。
とはいえ樋口さんも特撮監督としてはともかく、一本の映画を作り上げる例としては面白くないものもあるので期待不安半々な感じ。原作を読んでないという立場は存分に活かして鑑賞しようと思った次第ですが。
結論から言って、見に行って大正解だった。

日本映画においてはハリウッド映画のような超高精細なCG、VFXを作り出す事は難しくて多分みなさんこの辺は共通認識でしょう。この映画においてどうやって巨人や蹂躙される街を表現したかというと、巨人はメイクやらなんやらした人間自身が演じるという形をとりました。これが私の中では、かつて着ぐるみという技術がストップモーションだとか高額な技術の代わりとして登場しながらそれまでの表現力をはるかに凌駕し観客を驚かせたっていう流れを彷彿とさせるものであったと感じた。(この辺クソにわか知識で書いてるのでちょっとご容赦下さい)
まあ、どっちのが上とかそんな話じゃあないんだけど。ただ少なくともフルCGで創りだされるものとは明らかに違った(そして良さ、個性を持った)表現がアナログとも言えるやり方を介する事でもたらされていた。
もちろんメイクとかだけでなくて、スローモーションとか合成といった編集技術の賜物でもあるのだけど、あの生々しさと違和感により生じるものはきっとこの手法でしか生み出せなかったのだなと思う。
どっからどこまでCGや合成で、どっからどこまで実写実景実物なのか、わからない感じとても素晴らしい。
ただ立体機動の描写、これに関してはう〜〜〜んと首を傾げる。もっと何かなかったかな。
やはり怪獣映画は作れてもスパイダーマン的なものは作れないか。ここだけ途端に見所がない。
巨人の合間をすり抜け切り刻んでいく臨場感そのものはとても素晴らしかったのだけれど。

シナリオに関しては割りとジェットコースター気味。良く言ってB級ホラー映画的なテンションも孕んでいる。
キャラクターもメイン含めて舞台装置的な役割が多く、この辺が原作に思い入れがある人は受け入れがたい点なのだろうなと思いつつ、ある種「怒りのデス・ロード」にも似た非常に高いテンションを維持し続ける感じはとても好印象だった。
やはりこの辺は実写映画化にあたって原作から取捨選択した部分なのだろうな。だから受け入れられなくても仕方ない。私も原作読んでたらどういう印象を持ってたかはわからない。
ただ一点それはあまりにB級パニックのセオリーすぎるくだりがあったのはちと興醒めに感じて、そこだけ心残り。
でもダラダラと無駄に長くなりがちな邦画の中で、上映時間98分と、100分以内に収めたのはかなり好印象。るろ剣とか眠かったもんなぁ。好きだけど。

終盤の展開はもう素直に本当にテンション上がった。もう心のなかで「やったーーー!!!!」って叫んでた。
一つの展開としても強いカタルシスを感じられてもう本当に素晴らしかったと思う。

原作読んだことないのであんまり強くは言えないんだけど、以上の点からきっと上手いこと差別化は図られているのだと思う。実写で描かれる地獄絵図は漫画ともアニメとも違う印象を与えているんじゃないかなと思う。
それでファンの心が納得するかといえばそうでもないのだろうけど、この方向性は少なくとも原作者と話し合った結果というのも隙がない話。パンフレットを読んでくれ。
原作に愛がないかと言えば、対談を読んだ限りはそうとも思えず。映画化にあたって監督の色が出るなんて当たり前な訳で。
例えば「ダークナイト」だってあれだけ高評価されてるけど、原作と掛け合わせて見た時にこのただのニューヨークマンハッタンのどこがゴッサムシティなんだ、とか、面白いと思うけど私はもっとコミック的なバットマンが見たい、とか、そういう意見はあるわけで。
今回の映画も相違点は多くあれど根っこは同じこと。その題材を持って何を描くかは委ねられていて、そしてそれがどれほどのクオリティを持ってくれるかはわからないけど、ここまで突き抜ける事が出来た進撃の巨人は、ノーランによってバットマンの物語を通じてリアルさを持った大作映画、社会性を持ったヒーロー映画として突き抜けた「ダークナイト」のように、一つ突き抜けて成功しているんだと思う。
原作読んでないから、分かりかねる部分は勿論あるけど、踏み台にされたーとかそういう表現はやはり違うと感じる。
納得いかねーって気持ちもきっとわかるんだけど。私も基本的にはいわゆる原作厨なので。

点数をつけるとしたら60点止まりなんだけど中々どうして人に見せたくなるパワーを持ってる、良い映画だったと思う。でも結構グロくてPG12って嘘だろどう見てもR指定だろ。苦手な人は検討と覚悟を。子供には見せない方がいいかもしれないけど、幼い内にトラウマを作っておく事に私は否定的ではない。因みに内臓は出ない。
良くも悪くも話題沸騰中だし、原作好きだとか、やれ特撮だなんだ言われてるとか、気になる要素があるなら見に行ってほしい。評価するのはそれからね。







ここから具体的な内容に触れます。









地獄絵図。
この点は本当、文句のつけようがないと思うんだけども。
なんと言っても巨人の描写が白眉も白眉。知能が欠落なんてものでもなく、お肌が綺麗なゾンビ(デカい)のような。
ゆらりゆらりと大挙して歩いてきたかと思えば人を貪り食い、走り、建物を破壊する。常に笑顔で実に美味そうな顔をして笑っている様が実に強烈。
そこに血しぶき人体欠損が加わるのだからもう凄い恐怖感。あの逃げ出したい感覚は単なるホラー映画パニック映画とは明らかに質が違う。
オープンセットやミニチュア、カメラワーク等もとても計算されているのだろうけどその辺落ち着いて見てられないくらい私はビビってた。臓物とかはないから何とかなってた(そこがPG12で済んだ理由か?)けど基本グロダメなんだよ…こんな圧倒的だと思ってなかったんだよ…。
思えば監督の携わったガメラ2の地下鉄は私の中のトラウマの一つであったのでもしかすると氏の描く恐怖は私の中の恐怖感のツボというか象徴のようなものなのかも。
この辺でもう完全に良い意味で期待を裏切られてテンション爆上げ。
子供巨人とか赤ちゃん巨人とかバラエティに富んでるのも面白怖くて飽きさせなかった。赤ちゃん巨人は本当に質の悪いホラーだ。
以後調査団視点となり回を追うごとに徐々に巨人に対抗していくわけだけど背景でもりもり人間食ってる巨人とかさり気ない背景もきっちりと描かれてて隙のなさすぎる絶望感あるいは緊迫感が凄い。
ただ、それでもわざとなのかわからないけど、めっちゃ囲まれてるのにダラダラ喋ったりしてるんだよなぁ。
その辺どうしてももどかしいというか気になったし、シーンの切れ目も割りと適当で残念な所が多かった。
あんなに逃げ場がない!って描写がスゴかったのに、教会に巨人の目が行ってるとはいえエレンが平気でのろのろと歩いてく姿でフェードアウトして「-2年後-」で再開する所とか。
どこほっつき歩いても間違いなく巨人いるのにどうやって逃げたんだ。

キャラクター。
スカしてたら今までの日常が急に終わり、豹変した日常の中で頑張っても上手く行かず、死んだと思ってた幼なじみと再開したと思ったら彼女は遠い存在になってしまい、というエレンに感情移入するのは割りと容易であったが、そこから彼が奮戦し果てに特別な力を入れる切欠理由としてはあまりピンと来ず、その辺の展開の上手さみたいなものはやっぱりあんまりないのかなと。
三浦春馬は特別上手いとも思わないけど別にヘタクソでもない。鬼気迫るシーンはいくつもあったしアクションもそこそこカッコ良かったし。滑舌は相変わらず危うい所があるけど。
ミカサとシキシマの何かを連想させるシーンはあまりに抽象的ておされな絵面に少し笑ってしまったけどエレンの気持ちが収まらなくなってく理由の一つとしてはストレートでわかりやすい。
「私のせいなの?」というミカサの葛藤もそこまでピンと来ないのはピンチだっつってんのにダラダラ喋ってた演出のせいなのか脚本力のせいなのか。
水原希子は冒頭の綺麗なミカサ、再登場の暗いミカサしっかり演じ分け出来てたと思います。ところでどうやってお腹甘咬みされただけで済んだんだろうな。とか気になりつつ。
その他調査兵団は個性豊かだけど全然キャラクターは立っておらずというかセリフ量も少なく、本当に舞台装置以上の役割を持たせて貰えてないのでここは個人的にもちょいとピンと来ない。
確かに人はどんどこ死んでいくのだけど、死んでいくのは背景の人間で少しでも思い入れを持たされたり、好感を持たされたりして印象的になるキャラクターは殆ど死なないのがある種ご都合主義的というか、わかりやすすぎてちょっとつまらなかった。(次回への温存ともとれるが)
唯一セリフ量もそこそこあって好意的な部分もあった死亡者が我らが水崎綾女演じるシングルマザーであったわけなんだけど、お色気しようとして食われるっていうアナコンダかよっていうB級パニックのそれすぎて流石に興醒めだった。こういう所で案外軽く展開が進むんだなぁと思ってしまった私も何だかんだでこの映画にハマりきれない部分かもしれない。でも水崎綾女の誘惑自体は最高です。尻。
渡部秀はパンフレット読むまで気づきませんでしたごめんなさい。

変身。
進撃の巨人という作品に全く興味がないわけでもなかったけど、ウィキペディアかなんかで概要を読んでてあーそうなるのねーと思って興味がなくなってしまった切欠がある。それがこの、主人公が巨人に変身する。という点。
ゴジラやらバトルシップやら軍隊自衛隊人類がなんとか怪獣未知生物に対抗しようとするものだと勝手に思ってたのでウルトラマンになっちゃうのかーと思ったら冷めてしまったという経緯。
ただそれが実写特撮となればこの情報に対する印象が180度変わるのだからなんとも現金な話である。
というわけでデブ巨人をドラゴリーの如く(内側からだけど)顎を裂き食い破り爆誕する巨人エレンの圧倒的変身は鳥肌が立つかっこよさ神々しさだった。造形自体も巨人そのものの生々しさエグさはありつつ明らかにヒロイックでかっこいい。
そこから人間を蹂躙してきた巨人をエレンが蹂躙していく様は実に爽快感がありとんでもないカタルシスだった。「こんなの初めてぇー!」は鑑賞者の代弁か。
でも調査兵団出陣シーンは明らかに自衛隊の出動シーンのそれであからさますぎてやや興醒めポイントでした。

ちょこちょこ不満点はあるんだけど、控えめに言ってクソ楽しかったので後編も是非見に行きます。
前後編という構成にしたからには物語もある程度は上手い!と思わせて欲しい所であり、不動の原作付きという点ではどういうエピソードを抜き出しどう着地させてくのか勿論興味大。
いわばこの映画は第一話なのだから、どこまで爆発してくれるか楽しみであり、不安でもある。

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