「Q10」 #08 感想。

  • 2010.12.19 Sunday
  • 23:11
過去形。
私の記憶が正しければ、なんだけど、平太のモノローグが初めて過去形で読まれてた。
過去形になるという事は後から考えている、つまりは後になって悔やんでいる出来事。
悔みによって終わる第8話と、絶望の今から急転して終息までの最終回・第9話。
そんな形で分けられるからには、第8話は「後悔」のお話だったのだろうなと思う。
いわば、これも一つの物語の終わりだったのかもしれないな。と。
後悔っていうのは、その時にならないとわからないんだよなぁ。

現実。
カメラに映った河合の姿に見惚れて、他になにも手に付かなくなった影山の姿は正に依存。と言ったところか。
過去が希望をくれる。という台詞があるが、これは幾ら何でものめり込みすぎなんだろう。
ただ、河合の現実見なよ。という言葉はなかなかにキツい。けれどそれが本当の現実、「今」なのだ。
教室で皆は勉強に勤しんでいる。どことなく緊張感もある雰囲気。それが、今。
影山の心の叫びも虚しく、思い出の詰まったカメラを置いて、テキストを開く。
わからないままだけど、今できる事っていうのはそれしかないのかもしれない。
ただ、でも、カメラに映った出来事は確かに少し前にあった出来事なんだよなぁ。
楽しい事もあるけれど、そればっかりじゃあないんだなぁ。これも自分との戦いか。
別れた後に撮ったその映像の二人はやっぱりとても楽しそうで。この関係、終わったようで終わってない気がする。

知らない所で。
今回は中尾も何だか可哀想だったなぁと思った。
ルナちゃんの打ち切りに、Q10がいなくなったという二つの事後報告。
ルナちゃんは熱心に愛読してたし、Q10に関しても数少ない秘密を知っている人間で、月子についてもある程度知ってて、平太にも協力的だったのに、今回どれもこれも彼が知らない所で巻き起こった。
その場に立ち会っていたら何か出来たかと言われれば微妙だけど、凄くキツい事後報告だよなぁ。
どちらも凄く歯切れの悪い出来事だし。ルナちゃんの打ち切り方が酷すぎて笑った。
好きなモノが消えた。それは中尾にとっても同じでこの世の終わり。に近いものを感じたかもしれない。
中尾にとっても、何をする事もできなかった。知っていれば、何か出来たかもしれないのに。
何もやらずに終わるのが一番嫌な終わり。

死ぬかもしれない。
久保の容態急変。普段のクレバーな感じからは想像出来ないあの素振り。
苦しそうにイライラをぶちまけるように。シーンとしてはちょっと唐突だったけれど。
対して山本はロックの道に光が差し込み始めていて。嬉しそうな小川先生が良い。
ただ小川先生は風邪に大げさに悶える母に対して心配する素振りは見せずw 見慣れているのかな。
久保の突然の出来事に山本は驚きを隠せず。物が散乱した部屋は、今まで見たことのない久保を克明に表していて。
喜びの報告をするつもりで来たのに。一番話したい人。一緒に喜びたい人が居ない。
この二人のギャップは、河合と影山の関係ともちょっとダブって見えた。
久保の病弱という現実。

親父。
藤丘に金をせびる親父。と、役者が実の父子で吹き出した。何だこのキャスティングw
学校を捨てて就職した事に対してのコメントも描かれず、いきなり現れて金をせびる親父はダメな人にしか見えなかった。
弟の為に、家族の為に働き出したのだけど、現実は思ったよりも暗くて。
それでも、親父は親父なんだよなぁ。「金」も現実だが、家族である事も現実で。
職場はよさそうな雰囲気なのが救いか。

猫かぶり。
家に帰ってきたら月子が家に…! というシーン、野ブタ。と全く同じだったなぁ。
まあ、だからどうという事でもないんだけど。素直に怖かったし。思わず「ぎゃあああああ」と言ってしまった。
…でも、あの優しい深井家と触れ合った唯一のシーンだったりする。そう考えるとちょっとほんわかするようなしないような…。
今思えば、確かに月子は脅迫めいた事しかしてなかったんだなぁ。

未来の世界の人型ロボット。
Q10の真実。こういう展開は、ロボットもの(?)としては王道的な気がする。
ただ、その王道な設定の中で描くものが違うんだなぁ。
Q10の視線は、未来の平太の奥さんの視線。勿論、第1話から見直したくなった。これまでの「視線」が強調されるシーンの印象がかなり変わってくる。
ロボットを通して見た、青春謳歌の姿。愛する人の、自分がまだ見たことなかった所。
「平太、また会おうね」という台詞は、Q10が居なくなった後に、自分(平太の未来の嫁)に会うことを暗に示していて。それが最後の言葉だったというのが悲しいような、優しいような。
学校や鉄塔の風景を映しながら繰り返される言葉。
予定通りに届かなかったQ10ではあるが、この物語を見るにそれは結果オーライだったように思える。
余計な感情を芽生えさせずにただ平太を見つめさせる為に引き篭もりの影の薄い人間にする予定だったというが、予定通りだったらここまで平太に接近出来ていないだろうし。
Q10自身にとっても、色んな経験を出来た。記録が残った。
この手違いこそ、生まれてきた奇跡であったのだろうな。

時空。
時空を飛ぶ事は負担がかかる。月子もその負担を持って、ここに仕事をしに来たのかな。
とにかく考える事。それが後悔しない唯一の方法。過去に溺れたり、未来に絶望したり。そうではなくて、今考えるしかない。それでも、目の前で起きた事は余りに衝撃的だった。
考える力を無くした平太に出来る事は一つで。
考える力を無くすのが最も怖い事。それは、よくわかる。
無音で崩れ落ちるそのシーンは喪失感に溢れていて、良いシーンだった。

映してきた物。
人がいなくなっても残る物がある。その人が使っていたもの。写真。その人が欲しがっていたもの。風景を見ればその人がいた風景を思い出す。世界に宿る。
影山が残したカメラと同じように、Q10の残した映像。「深井平太」の軌跡。それはQ10と、未来の奥さんの視線でもあって。
喪失感に後悔に、色んな感情が混ざった平太の表情が良かった。

未来へ。
柳先生の言葉が届いて奮起する決意をした中尾。武装に笑った。
Q10にそっくりの女性を見た平太。未来へ繋がる出会い。
この「喪失」「後悔」で終わるこの感じ。先述したようにこれこそが今回の物語の重要な所だったのかもしれない。
「希望」とは少し違う世界に宿してしまったもの。拭うためには、今を生きるしか無い。

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