覘き小平次

  • 2008.11.26 Wednesday
  • 22:52
学校の図書室から借りて読みました。
「嗤う伊右衛門」の流れを汲んだ、四谷怪談を原作とした作品。
「京極怪談」なんて呼ばれ方もしてる。

幽霊しかまともに演じる事が出来ず、普段はずっと押入れに引き篭もっている役者・小平次と、彼を嫌いつつもどこかで仕方なく関わり合ってきた人達のお話。
今作も恋愛が主軸かと思いつつ読んだ。
・・・まあ、主軸といえば主軸なんだろうけど。
伊右衛門より更にひんまがった(?)恋愛要素。序盤は読んでて寧ろ不快な感情さえ芽生えた。
だけど、読み進めていくと段々と明かされていく心情と隠された真実にハラハラドキドキ。
ラストもやっぱり綺麗。ただ、胸に染み渡る感じは伊右衛門の方が上。
登場人物は皆暗い。だがそれが良い。

普段は押入れに引き篭もり、襖の隙間からただただ外を覘いているだけの小平次。
そんな彼の妻であり、ことあるごとに彼に罵声を浴びせるお塚。
お塚と繋がっていたいが為に小平次との繋がりを保っている多九郎。
等等、様々。各登場人物、抱える物が違えば行動原理も違っている。
お塚は口が悪く、多九郎も非常に粗暴な性格。
けれど、彼らはその、所謂「自分の生き方」を常に通し続けている。
これは自己表現のお話なのかな。と思った。
他人におかしいと思われても、彼らにとってそれが自分の生き方なのだろう。
例え役立たずだの、本物の幽霊のようだのなんだのと言われても。

・・・個人的に、そんな小平次には共感を抱かずにはいられなかった。
小平次は「自己表現をしない」が自己表現になっているのかもしれない。
だから皆から嫌われている。それも、彼の生き方なのかな?
なりたくてなっているわけではない感じではあるが。
お塚は「ツンデレ」。という解釈で良いのだろうか。
どうにもひんまがった(?)ツンデレであるが、これが彼女の自己表現なのだろうな。
やっぱりひんまがった恋愛要素です。
個人的にプッシュしたいのは動木運平。
狂ってるけど、ある意味これが一番ピュアなのかもしれない。
だとすれば、玉川歌仙は生き方を変えた人になる。
どんどんやる事なす事が変わっていく様は読んでて何だか嫌になった。

自己中心的なのは良くないけれど、
やれ自分が生きている意味がわからないだの、
自分が何故いまこうしているのがわからないだの、明日が見えないだの、
そんな事ばかり考えている人は共感を持つのではないだろうか。
それから、切なさと共に勇気のような何かも貰えるんじゃないだろうか。と、
そう思える一作でした。

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